「逝きし世の面影」
前記事で偉そうに書いた
に関連して、当時の日本についてもっと知りたくて、以前こんな本を読んだのを思い出した。
当時の訪日外国人が残した文章を紐解いて、開国〜戦前の日本の姿を明らかにしようという本なんだけど、印象的だったのはこの話。
幕末とは西洋人の目から見て「蒸気の力や機械の助けによらずに到達することができる限りの完成度を見せている高度で豊かな農業と手工業の文明」であり、鎖国によって独特な仕上げぶりに達したひとつの前工業化社会の性格と特質を暗示している。19世紀ヨーロッパ人は工業化に自負と同時に懐疑や反省を抱かざるをえなかった。
産業革命で工業都市となった19世紀のロンドンやシカゴは、そらもう酷いもんだったらしく、都市問題は噴出、街には汚水と貧困者が溢れていたそうな。
いつの時代だってそうだけど、社会が大きく変化する時は、世の中にそれとは逆の衝動が起こるもんで、要は、「産業革命以前の『失われし牧歌的ヨーロッパの幻想』を、西洋人は日本に見出したんだ」と、この人は言ってるんだね。
つまり、ジパングブームとは、西洋人が「東洋的なもの」そのものに感動して興ったわけではないんじゃないかって話。
この流れから、筆者は東洋研究の視点であるオリエンタリズムにも批判を加えている。オリエントとは「西洋と対比された」という思想であり、東洋そのものを指す言葉じゃないから。
言われてみると、たしかに、自分も「西洋と対比した東洋」というものの見方をしている気がする。東洋人であるにも関わらずね。
東洋らしさってなんだろう。
東洋的な思想や芸術を意識的に見つけていきたいなあ、とぼんやり思う。
芸術、好きなだけで全然詳しくないんだけどね。
禅宗と日宋貿易時代の日本の芸術に興味があって少しハマったことがあるから、
いつかそれについて書きたいなあ。
弥生美術館にいきたい。感想記事にできたらいいな。